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センターの6次化事例
2019年2月28日

『一番美味しい時期の牡蠣を多くの人にオールシーズン届けたい』


事例19


かねもと
齋藤 洋子 さん

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齋藤洋子さん

商品セット
かねもとさんで開発した商品のラインナップ

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加工商品の素材には、齋藤さんの旦那様が生産した
自慢の牡蠣を使用している

 

『一番美味しい時期の牡蠣を多くの人にオールシーズン届けたい』

事業者:齋藤 洋子 さん (石巻市)

主な販売先:自社直売所、自社HP、その他催事等

取組後の成果: 商品を買っていただいたお客様からいただく「おいしかった」の声など、牡蠣を生産し、出荷していただけでは経験することのなかった喜びを味わうことができた。お客様とのコミュニケーションも増えた。

※石巻市6次産業化・地産地消推進センターを、
 以下より「6次化センター」と表記いたします。

 


6次化センターへのご相談のきっかけ


『漁業でも6次産業化ができる』

そもそも6次産業化に興味を持ったのは、農業分野での6次産業化成功事例を知ったことでした。テレビで、青森のリンゴ農家のお嫁さんが、自分の所で作ったリンゴを加工し、スイーツのお店をオープンさせたという事例を放送していたんです。これを見て、「漁業でもこの発想で可能性が広がる!」と考えました。

6次産業化についていろいろ調べていくと、六次産業化・地産地消法に基づく「総合化事業計画」*1)というものがあることを知りました。この認定を受けることで、6次化に関わる活動の展開にあたり、国などから様々なサポートを得られると知り、この認定を目指してはどうかと、所属している石巻地区漁業協同組合に相談してみました。これがきっかけで、6次化センターをご紹介いただきました。

また、6次産業化商品そのものに対しても具体的な考えや想いがありました。生牡蠣の相場は、年明けに下落する傾向にあります。牡蠣というと、年末の贈答用、お正月に食べるもの、そういったイメージが強いためです。でも、実は年を越した牡蠣の方が、身が充実していて美味しいんです。そこで、この一番美味しい時期の牡蠣を自ら加工し付加価値を高め、それを販売することで、年明けの牡蠣の美味しさを消費者の方に知っていただき、同時に年明けの収入を安定させていこうと考えました。

 

(*1)「総合化事業計画」とは
農林水産物等の生産・加工・販売を一体的に行う事業活動を「総合化事業」といいます。農林漁業者等が経営の改善を図るために、事業計画を作成し農林水産大臣に申請し、認定を受けると様々な支援が受けられます。

 


齋藤さんと6次化センターの取り組み内容


『総合化事業計画を作成し、加工場の建設や商品開発へ』

先に挙げた「総合化事業計画」の認定(平成26年)を受けることができました。また、加工場建設のため、石巻市の6次産業化・地産地消推進助成金(*2)を活用することができました。初めてのことの連続なので、すぐに相談できるという体制は非常に安心しますね。

商品作りの面では、特にパッケージの考案にこだわりました。私たち生産者が、加工・販売に一貫して取り組んでいることを、消費者の方に知って欲しい、これをパッケージを通して伝えたく、試作を重ねてきました。商談会などに参加しては、ご批評もいただくことがありましたが、そういったご意見も反映させながら、中身の良さを十分に伝えることのできるパッケージに仕上げることができました。

 

(*2)「石巻市6次産業化・地産地消推進助成金」とは
石巻市では、地域資源の高付加価値化を図るため、1次産業・2次産業・3次産業を営む事業者がネットワークを形成して取り組む事業に対し助成金を交付します。対象事業は、①新商品開発、②販路開拓、③施設整備です。③施設整備については、総合化事業計画の認定を受ける必要があります。

 


6次産業化に取り組んだ成果


『生産・出荷だけでは経験することのない喜びを味わえた』

牡蠣の生産だけでは味わうことのできなかった喜びを感じることがあります。例えば、お客様から直接「おいしかったよ」といった感想をいただいたり、何度も注文をいただいたりと、出荷して終わりという時代には感じることのできなかった経験をしています。やはり、自分が一から面倒を見てきた商品をお客様に褒めていただくことは嬉しいものです。

また、地元商工会からの誘いもあり、池袋で開催された物産展にも参加したのですが、これをきっかけに首都圏のお客様からも注文をいただく機会が増えました。これも、6次産業化に取り組み、距離や時間を気にしなくて良い加工品を自分たちのラインナップに取り入れることができたからこその成果とも言えるかもしれません。

また、お客様と直接やりとりをしているので、お客様とのコミュニケーションが増えたことも嬉しいです。今後は、お客様の所へ発送する際に、都度一言添えて想いも一緒に届けたりもしたいなと思っています。

 


6次産業化への取り組みで苦労する点


『人手と販売力』

6次産業化については、走り続けている最中で自分たちの望むような成果には辿りついていないため、雇用にまではまだ繋げられていません。そこで人手の部分は苦労しています。やはり全て自分たち夫婦でやらなくてはならないので大変な時もあります。

また「販売」の部分も苦労があります。以前は業者さんと契約させていただき販売していたのですが、なかなか販売・利益に結び付きませんでした。これを受け、販売数は少ないかもしれないけれど、買っていただくお客様と直接やり取りできる売り方に変えました。これにより自分たちの「販売力」が求められるので、これまで経験することのなかった販売に対するスキルアップも必要になってきますね。

 


販売商品への想い・こだわり


『生産者だからこそ届けられる一番美味しい牡蠣を使用した商品』

栄養豊富な海で育て、春のしっかり身が入った牡蠣を使用して商品に仕上げているところがこだわりです。これは生産者だからこそできる強みでもあります。また、この辺では「一年子」(いちねんこ)というのですが、一昨年の夏に種付けした2年目に入っていない牡蠣を使うことで、加熱しても身が柔らかく仕上がります。意外かもしれませんがこれは年数をかけて大きく育った牡蠣には出せない食感、味わいだと思います。燻製は特に、その加工する過程で最初の重量の約半分にまで減少します。必然的に生の状態よりは身が締まり硬くなるのですが、ただ硬いだけの燻製ではなく、一番おいしい時期の牡蠣の柔らかさを残した燻製をお届けしている、これが私たちの自信です。

また、商品のブランド名にも私たちの想いが詰まっています牡蠣生産者が自ら作っている商品だということを伝えるため、牡蠣漁師である主人の名前を商品名に付け、また「ご馳走」の本来の意味に立ち返り、美味しい物を作るため、自分たちが生産から加工、販売と走り回っているという意味合いを込めて「伊平さんのごちそうがき」とネーミングしました。ここも消費者のみなさんに伝わるといいなというポイントです。

今後は、みなさんにこのこだわりの牡蠣を年中食べていただけるよう、新設したばかりの直売所を1つの拠点に、シーズン中の生牡蠣はもちろん、加工品にももっと力を入れていきたいです。

 

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「伊平さんのごちそうがき」
商品ラインナップの全てにこのロゴが付く。
石巻の名を広めるために「石巻直送」と入れたのもこだわり。

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新しく建設した直売所

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建屋、内装は全て齋藤さんご夫妻の自作

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店内には、立派な殻付き牡蠣から加工商品まで多数取り揃えている

 


6次産業化を検討している方々に伝えたいこと


『折れない情熱と信念を持って、いろんな人の力を借りながらやってみて欲しい』

6次産業化といった未経験の新しいことに取り組むと、大変なことが多いですし、時間もかかります。でもそれに負けない情熱と信念を持って臨んで欲しいです。また一人でできないことは、周りの人の手を借りることも正解です。何しろゼロからのスタートなので、分からないことだらけ。そんな時は積極的にアドバイス等を受けることをおすすめします。ゼロからモノを生み出すことはすごいことです。自信を持って取り組んでください。続けていれば自ずとノウハウや人脈といった形で、結果はついてくる思います。

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自慢の牡蠣を生産している万石浦(石巻市)
ここから牡蠣の美味しさを発信していきたい

 

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