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センターの6次化事例
2018年9月20日

『地域で「連携」した6次産業を行い、この繋がりを広げていきたい』


事例15


ダ・オリーノ (石巻市立町)
堀野 真一 さん (マネージャー)
松本 圭介 さん (シェフ)

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シェフの松本さん(左)とマネージャーの堀野さん(右)

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オリーノさんで作った、6次化商品「石巻ジェラート」
素材の野菜は、石巻の野菜農家さんが作ったものを使用している。

 

『地域で「連携」した6次産業を行い、この繋がりを広げていきたい』

事 業 者:堀野 真一 さん (マネージャー)

      松本 圭介 さん (シェフ)

飲 食 店:野菜を使ったドレッシング、ジェラート(店内提供)

主な販売先:直接販売

6次産業化への取組:石巻市の野菜農家さんが作った野菜を使用した新たな
          加工商品の開発

取組後の成果:イベントなどでの地元野菜を使ったドレッシングの販売と
       ジェラートの店内提供が行えるようになった。
       また、地域を巻き込んだ新しい動きが生まれた。

 

※石巻市6次産業化・地産地消推進センターを、
 以下より「6次化センター」と表記いたします。

 


6次化センターへのご相談のきっかけ


『1次~3次まで、全てにおいてのプロは難しいため、「連携」で6次産業をやろう』

 このお店を始める前、「6次化」に根差したレストランで勤務していました。そこで当店シェフの松本と出会ったのですが、当時働いていたレストランは、農地も持っており、原材料の生産から、加工・調理、販売まで全て自分たちでやっていました。これはとても凄いことであると同時に、また難しいことでもあります。

 いざ、自分たちのお店を構えて、自分たちで「6次化」をやろうとなったとき、全てのプロになることはなかなか大変だということになりました。そこで、「連携した6次化」をやろうといことになったんです。「餅は餅屋」と言いますが、美味しい野菜を作る人、それを美味しく調理する人、その出来上がったものの魅力を人に伝え販売する人、それぞれのプロが連携すれば、「6次化」もうまくいくぞと。

 そんな時、うちのお店にいらしたお客様から6次化センターで相談してはというお話しをいただきました。今思うと、あれがセンターへ相談するきっかけでした。その後、6次化センターからは美味しい野菜を作るプロを紹介していただきました。うちのシェフは美味しい料理を作るプロ、また私は販売をするプロ。これで1次、2次、3次のプロが揃いました。(堀野さん)

 


堀野さん、松本さんと6次化センターの取り組み内容


『「地産地消」地元農家さんとの連携商品を作りたい』

 私たちは、「地産地消」にもこだわりがありました。石巻で作ったものを、石巻で食べるそれには、地域を巻き込んだ6次化の発想が必要です。そこで、6次化センターからご紹介いただいた野菜農家さんと連携して商品づくりに取り組むことになりました。

 野菜を商品づくりのテーマにしたのは、「健康」と余剰野菜の「廃棄」という問題に対してアプローチしたかったからです。野菜は規格外品や廃棄されるような野菜をまるごと使用します。そして、この野菜をどんな商品に仕上げるかとなった時、ベースになったのが当店で出していたジェラートとドレッシングです。もともと、うちのシェフが作るジェラートやドレッシングは美味しいと評判でした。そこに石巻産の野菜をまるごと取り入れたところ、ストーリー性も生まれ、大変好評をいただいています。

 また、この取り組みにあたり、6次化センターには石巻市6次産業化・地産地消推進助成金の交付を受ける際にご協力いただきました。(堀野さん)

 


6次産業化に取り組んだ成果


『地域を巻き込んだサイクルが回り始めた』

 出来上がった商品をイベントなどで販売しました。そこでのお客様の反応などを、野菜農家さんにフィードバックして、また野菜を仕入れて、商品を作って…ということを繰り返しているうちに、逆に農家さんから「こんなのができたよ」と声をかけていただけるようになりました。

 今では6次化センターを介さずに、様々な意見・アイディアを自分たちで共有できるようになっています。

 少しずつ「地域を巻き込む」形でこういったサイクルができあがってきており、徐々に私たちがやりたいと思っていることに近づいているなと実感しています。そして、この「輪」の中でそれぞれが豊かになるようなサイクルをまわせるようになっていくといいなと思っています。(堀野さん)

 


6次化への取り組みで苦労する点


『旬と製品製造のスケジュールがタイトで難しい』

 野菜には旬があります。旬の野菜を使って商品を作る際、何度も何度も試作をし、納得のいく試作品ができたと思ったら、その野菜の旬が終わっており、販売するまで至らないということがよくあります。

 また、旬を意識すると、補助金の枠組みが年度単位となり、企画、製造、販売の流れの中で、販売までたどりつくのにハードルが高いように思います。もう1期分補助の期間を長く見ていただければ、起承転結の「結」のような成果が出るのではないかと思っています。

 次期に向けて、生産コストを見直したときの気づきもありました。補助金の交付が終了した翌期からは、自分たちの力で回していかなくてはなりません。それにあたり、容器などの資材や、手作業部分のコストを見直すと、思っていた以上に費用がかかっていたことに気づきました。この点は、しっかり見直さなければいけないと思っています。

 

『製造許可のハードルの高さ』

 ジェラートについて保健所に相談した際、現在の店の設備では加工品としての販売は難しいと回答をいただきました。今は店内で提供しております。しかし今後は設備を充実させるなどして課題に取り組み、店外でも販売できればと考えています。(堀野さん)

 


販売商品への想い・こだわり


『飲食店という立場からの廃棄野菜への取り組み』

 商品開発をする際、農家さんに作っていただいた食材をどうすればいかせるか、野菜の青臭さなどの邪魔な味が出ていないか、テーマである「健康」についても考慮して作っています。また、野菜とアイスという意外性があることもポイントです。

 そして、今回はそれだけではなく、「規格外」や「未利用」、「廃棄」といった問題へのアプローチ、メッセージも込めています。こういった問題への取り組みは他事業者でも行われています。例えば、スーパーや量販店の店頭では、こういった野菜を売る際は、必ずPOPに文字や言葉で「規格外野菜」などと表記されます。本来だったら店頭に並ぶこともなく、廃棄されていくはずだった野菜が、このような形で商品として販売されることはとても良いことですが、裏を返せば、「この野菜を作った農家さんは、こんなにも規格外を出すの!?何も考えずに作っている農家さんなんじゃないの?」と、農家さんの信用を損ねる結果にもなりかねません。

 そこで、この問題にどう切り込んでいこうかと考えていた時、6次化センターの方から少し視点を変えて「まるごと」をキーワードにしてみてはどうか、というアドバイスをいただきました。「ネギは青いところまでまるごと使っています。」ということです。そして私たち飲食店は、それを自分たちの口で直接お客様に伝えられることが強みです。「実は普段捨てるネギの青い部分は、こんな栄養があって、白いところよりも甘味が多いんです。」と。

 そして、その話を聞いていただいたことをきっかけに、そのお客様が野菜を買う時、直売所等に足を運んでくれるかもしれない。そこで「少し小さいジャガイモだけれど、美味しいし、家計にも優しいわね。」と小さなジャガイモを手に取ってくれるかもしれない。そうすれば、「規格外」や「未利用」、「廃棄」といった文字や言葉から離れたところで、農家さんを苦しめることなくこの問題に取り組んでいけるのではと考えています。

 そんなストーリー、メッセージを込め、今回のジェラートやドレッシングを作りました。(松本さん)

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オリーノさんの描くストーリーが形になった旬の野菜を使った「石巻ジェラート」(写真左)と「石巻ドレッシング」(写真右)

修正_ジェラート写真(H29年地産地消フェア)
旬の野菜を使った「石巻ジェラート」
 ちぢみほうれん草&白ゴマ(緑シール)(左)
 かぼちゃ&アーモンド(黄色シール)(中央)
 ごぼう&キャラメル(黄土色シール)(右)

 


6次産業化を検討している方々に伝えたいこと


『一人でできないことは恥ずかしいことではない 「連携」から形を作ってほしい』

 自分一人でできないことは、決して恥ずかしいことではないので、「連携」でどんどん繋がって、形を作っていってほしいなと思います。

 農家さんは美味しい野菜を作るプロフェッショナルで、美味しい食べ方も研究されていて、アイディアをいただいたりします。一方、飲食店の知り合いに相談すると、自分とは違った野菜の使い方や、さらにその先の自分では思いつかなかった商品のイメージやデザインが見えてきたりして新しい世界が広がります。

 そういった連携の中でお互いがアイディアを出し合い、協力し、6次化の中で誰かがどこかで必ず係わっている、そんな繋がりを築いていければ、街としても面白くなっていくのではないでしょうか。(松本さん)

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マネージャー堀野さん(左)、シェフ松本さん(右)

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お店の外観
窓のお二人の写真が目をひく

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店内の様子

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