『地域の野菜や果物を取り入れたローフード中心のカフェを創業したい』
事例 7
Living food café en
狩野 幹子 さん
『地域の野菜や果物を取り入れたローフード中心のカフェを創業したい』
事業者:狩野 幹子 さん (石巻市門脇)
自営業:ローフードを中心に提供するカフェの開設
主な販売先:直販(飲食店)
6次産業化への取組:地域の有機野菜や農薬不使用野菜、果物を取り入れた
ローフード中心のカフェ用店舗のブランディング及び
メニューの開発
取組後の成果:地域の農業者から栽培する野菜や果物の特性などの
情報を得た上でのメニュー開発が可能となった
※石巻市6次産業化・地産地消推進センターを、以下より「6次化センター」と表記いたします。
6次化センターへのご相談のきっかけ
『地域の有機野菜や農薬不使用野菜を活用し、からだにやさしい「ローフード」を提供するカフェを創業したい』
カフェ創業に向けて賃貸した民家の改修を請負う業者の方から、カフェのブランディングのためにデザイナーさんを紹介していただきました。
その方は、6次化センターで支援員として活動されている専門家でした。
店舗のブランディングやメニュー開発、価格設定のアイディア、またローフードレシピを作るにあたって必要な原材料となる野菜のことを考えていただきたいと思い、その方を通して6次化センターに支援をお願いしました。
カフェの創業には、店舗の改修、調理器具等の購入、原材料の仕入れなど、多くの費用がかかります。
6次化センターは無償のため、コスト面を気にすることなくサポートを受けることができました。
6次化センターへの支援希望内容
『カフェ創業のための、ブランディングをしてほしい』
狩野さんの相談内容は、
①カフェメニューの詳細と価格設定へのアドバイスをしてほしい
②ロゴデザインやカフェ宣伝のための販促ツール作成のアドバイスをしてほしい
③地域の野菜や果物そのものの特性を直接教えてくれる農業者を紹介してほしい
ということでした。
狩野さんと6次化センターの取り組み内容
『カフェ創業のための最終調整をサポート』
6次化センターには、カフェメニューの選定やカフェの顔となるロゴデザインの決定、調理器具の調達等について相談しました。
また、カフェのテーマがローフードでしたので、なるべく有機野菜や農薬不使用野菜を使用したいと思っておりました。
相談当初は、カフェのデザイン等の支援をしていただければと考えていたのですが、野菜のことを教えてくれる農業者の紹介や、実際にカフェを開店させた後のスタッフの導線設定などもアドバイスいただきました。
創業に向けて多方面からアドバイスをいただくことが出来ましたので、とても助かりました。
また、事業を行うにあたっての資金確保のために補助制度も紹介いただき、申請書作成やプレゼンの手法等もサポートしていただきました。
宮城県スタートアップ加速化支援事業(*1)へ申請を行ったのですが、申請期限が迫っていたのにも関わらず迅速に対応していただいたおかげで無事に認定をいただくことが出来ました。
開店後もカフェの様子を見に来ていただいたり、課題が生じた場合の連絡手段も整えていただいておりますので、とても心強く思います。
*1「宮城県スタートアップ加速化支援事業」とは
公益財団法人 みやぎ産業振興機構では、宮城県内に本社・本店を置いて創業する中小企業者等を支援し、雇用の創出を図り、地域産業の再生に寄与するため、県内の商工会、商工会議所と連携してスタートアップ資金を補助しています。
6次産業化に取り組んだ成果
『地域の農業者から野菜や果物を仕入れられるようになり、より地域に密着したカフェの創業に至った』
6次化センターを利用するまでは、「6次産業化」という言葉を身近に感じることはありませんでした。
農業者が自分で生産している農産物を加工食品等にすることの他にも、1次、2次、3次産業者が連携して加工商品等を製造することも6次産業化に当たります。
私が地域の農業者から野菜の特性を聞いて共にメニューを考えたり、新しい野菜作りをお願いしたりすることで、私にも6次産業化の一翼を担えることがわかりました。
カフェのメニューの中には、使用する果物を季節ごとに変更する場合もあります。
紹介いただいた農業者は世界中の珍しい野菜の生産に挑戦されている方なので、今後とも積極的に野菜の話を聞いて仕入れさせていただき、新たなメニュー作りにもご協力いただきたいと思います。
6次産業化への取り組みで苦労する点
『飲食店の開業は初めての経験のため、資金確保や開店準備のスケジュール管理に苦労した』
苦労した点の一つ目は資金確保です。
民家の改修費用の他、月々の家賃、調理器具、食器の確保や店内のインテリア用品等の購入に多くの費用を費やしました。
それだけでなく、保健所の営業許可や、ローフードは低い温度での調理になりますので食品事故に関する保険の加入も必要であり、予想外に細かい経費が発生してしまうことが分かりました。
補助制度も、実際にその補助金を受け取れるのは事業完了後となりますので、まずは自己資金をある程度確保しておくことが必要です。
二つ目は、開店準備のスケジュール管理です。
諸事情があり、店舗改装の着工に遅れが生じてしまいカフェのオープン直前まで工期が伸びてしまいました。
工事終了後に調理器具やインテリア用品の導入を行い保健所のチェックを受けて営業許可を得なければならないこともあり、アクシデントなどを想定したスケジュール管理が必要だと感じました。
販売商品への想い・こだわり
『ローフードは食物の酵素や栄養素を効果的に摂取できる食事法の一つ』
ローフードとは、生の(Raw)食べ物(Food)のことをいい、食物の酵素や栄養素を効果的に摂取でき、健康や美容に効果があるとされている食事法です。
疲労感がとれる、便通が良くなる等の様々な体調改善効果が報告されています。
48℃以下の温度で調理することによって、食材の酵素やビタミン、ミネラル等が壊されずに効率よく体内に摂取できるのです。
主に、生野菜、果物、海藻を中心に使用します。
私がローフードを知ったきっかけは、私自身の体調改善を行うためでした。
長年通院しても一向に改善されない病をかかえており、何か方法はないかと模索していたところ、食の見直しが必要だと考えました。
ローフードを食生活に取り入れたことで、病は改善に至りました。
昔からカフェの創業を考えていたわけではないのですが、もっと多くの人にローフードの良さを知ってもらいたいと強く思うようになり、カフェの創業に至りました。
ローフードは、毎日の3食に必ず取り入れなければならないということはありません。
前日に食べ過ぎてしまった、最近野菜を積極的に食べていない、体調が優れないといった方に、こういう食事スタイルがあるのだと食生活の見直しのヒントにしていただきたいです。
デトックスの効果もあるとされていますので、ぜひ食生活の一部に取り入れていただきたいと思っています。
『Living food café enにかける想い』
お店の名前の「en」についてですが、2つの言葉にかけて名前を付けました。
一つは、円満です。
物事や人柄などの調和がとれていて穏やかな様子を表します。
店主とお客様・地域の皆さん・仕入れ先の農業者などカフェの営業に関わりのあるすべての方と円満な関係を築きたいと思い「円」を用いました。
二つ目は、ご縁です。
様々な方のご縁があったからこそ事業を始めることとなり、これからもそのご縁を大切にしていきたいという願いから「縁」を選びました。
「身体もココロも元気に」を目標にしていますので、ストレスや体調不良等でココロにゆとりのない方がほっとくつろげるような場所にしたいですし、地域の方のコミュニティとしても活用していただきたいので、カフェの営業に慣れてきたらローフードを題材にした料理教室等も行いたいと考えています。
お店のロゴマーク
6次産業化を検討している方々に伝えたいこと
『飲食店として石巻市の6次産業化推進に参画できる』
自身の体調改善のためにローフードを学んでいましたが、体調改善の効果を実感できるようになるにつれ、自分の中で安らぎを得ていくのを感じていました。
私たちにとって必要不可欠な毎日の食事の時間を、安らぎの時間と感じられるような場所があったらいいなと思いカフェの創業を決めました。
地域の癒しスポットとして利用する方が増えればと考えています。
せっかくローフードを中心に提供するのですから、訪れるお客様には身体に良いものを食べてもらいたいと考え、有機野菜や農薬不使用野菜を生産している農業者から仕入れをして食事の提供を行っております。
また、生産者の方の顔が見える野菜を使用したかったので、できるだけ石巻地域の方から仕入れるよう心がけています。
カフェで食事をした方から使用している食材の仕入れ先について尋ねられた際は、お客様と生産者の方の仲介をしたいと考えております。
私は農林水産物の生産や加工は直接行っておりませんが、カフェ営業を通してお客様と、仕入れ先の生産者の架け橋になることで、石巻市の6次産業化推進の一助になれれば、石巻地域の産業の活性化や魅力発信に少しでも貢献できるのではないかと思っております。